悪魔辞典



  イフリート/エフリーテ(Ifrit/Efreeti)
アラビアの精霊ジンの一種で、ジンの5つの階層のうち上から2番目にあたります。
『アラジンと魔法のランプ』に登場するランプの精および指輪の精は、このイフリートだと言われています。
なお、TRPG『D&D』で「ファイヤーエレメンタルプレイン(火の精霊の次元)からやってくる魔法の生物」と規定されてからは、
専ら炎に関する能力を得たようです。もともとジンは、イスラム教において、
(土と水から創造された人間に対し)火と風から創造されたものとされていましたが、
その「火」の性質のほうがクローズアップされたのでしょう(「風」の性質はジンに受け継がれたようです)。
なお、この性質は、日本においては完全に定着したようで、

  インキュバス(Incubus)
女性を誘惑して性的に堕落させることを目的としている、男性型の夢魔です。
また、特定の魔女と関係を有している場合は、「マギステルス」または「ファミリア」と呼ばれます。
なお、女性型の夢魔は「サキュバス」と呼ばれますが、
一説にはインキュバスは自由に性別を変えられる(すなわちサキュバスに変身できる)とのことです。
また、サテュロスやヤギの姿に変身する事もあるといわれています。
ゲーテの『ファウスト』では、インキュバスは家事の手伝いをする精霊で、コボルトと同じものであるとされています。

  インプ/インペット(Imp/Impet)
イギリスの伝承などに登場する一種の妖精で、「小鬼」もしくは「小悪魔」などと訳されます。深い森の中などに住む、
イタズラ好きの小さな種族であり、その大きさは10センチくらいから小さな子供くらいまでと幅があります。とがった耳と、
先がカギのようになった尻尾が特徴です。語源は、古英語の「若枝/さし木/子供(ImpeまたはImpian)」だと言われています。
なお、16世紀から17世紀の悪魔学では、インプは最下層の悪魔で、魔女などの使い魔と考えられたようです。
TRPG『ソード・ワールド』などに登場するインプはまさにそういった種族です。

  ヴァルキリー(Valkyrie)
北欧神話に登場する神の使いの女性たちで、よく「戦乙女」などと訳されます。「ヴァルキリー」および別名の「ワルキューレ」は英語読みで、
ドイツ語では「ヴァルキューレ」、北欧の古ノルド語では「ヴァルキュリア(Valkyrja)」です。
「オーディンの乙女」とも呼ばれ、主神オーディンによって召された人間や巨人族の娘であると言われていますが、
オーディン自身の娘であるという説もあります。
ヴァルキリーは、オーディンの命によって、武装した姿で馬にまたがり、あらゆる戦場に赴くとされています。
そして、死すべき運命の戦士の息の根を止め、その死体(または魂)を戦死者の館ヴァルホル(またはヴァルハラ)に運ぶのです。
そこで、戦死者は再び甦り、世界の終末ラグナロクにおいて神々の側の戦士となって戦うとされています(まったく、ご苦労なことです)。
また、ヴァルキリーは戦の勝敗を織り込んだ布を織るのですが、機の重りは人の首で、糸ははらわた、
機織り機は剣や槍や盾などの武器で作られているということです。ちょっとしたスプラッターです。
後代になってから、ヴァルキリーは「白鳥の乙女」とも呼ばれるようになり、白鳥に変身して空を飛ぶとされました。
なお、白鳥に変身するのに必要な「衣」を奪われ、仕方なく人間の妻になるという「羽衣伝説」に似た伝説があるそうです。

 ヴィーブル(Vouivre)
ラテン語の「マムシ(Vipera)」を語源とする一種のドラゴンです。蛇のような体で、背中にはコウモリのような翼を生やした姿をしています。
また、両目(もしくは額の2本の角の先端)が、ルビー、もしくはガーネットといった赤い宝石になっています。
ヴィーブルは全て雌であり、雄は一匹もいないとのことです。
後世、ヴィーブルはコウモリの翼とワシの足、そして毒蛇の尻尾を持つ美しい女精霊に変化しました。
この「精霊」ヴィーブルも、額にある割れ目にガーネットを隠しています。
ヴィーブルは、このガーネットを手に入れた人間に服従しなくてはならないとされています。
ミラノ市の紋章は「ギーブル(Guivre)」という名の蛇の怪物が人間を飲み込んでいるという図案ですが、
このギーブルはヴィーブルの仲間だそうです。

  ウェンディゴ(Wendigo)
カナダの森林地帯に住むインディアンやエスキモー(一説にはアルゴンキン族インディアン)の間に伝わる、雪と氷の巨人です。
身長は5メートルほどで、その顔は骸骨のようだとされています。
吹雪の中をすさまじいスピードで駆け巡り、人をさらっては氷漬けにしたり食べてしまったりします。
村人たちは、このウェンディゴの害を避けるために、美しい娘たちを生贄としてささげていたと言われています。
20世紀になってから、ウェンディゴは「イタクァ(Ithaqua)」という名前で、クトゥルフ神話体系にも取りこまれ、
オーガスト・ダーレスの『風に乗りて歩むもの』などに登場しています。
基本的な性質は変わらないのですが、より巨大になり、全体的にパワーアップしています。
なお、カナダ原住民の風土病的精神病で、突然、人肉嗜好におそわれる症状があり、
これを「ウェンディゴ」と呼ぶという話もあるそうです。

  ウンディーネ(Undine)
16世紀の錬金術師パラケルススの造語で、ラテン語の「波・水(Unda)」に形容詞語尾をつけたものです。
彼によると、ギリシアの妖精ニンフの別名とされています。地水火風の四大元素のうちの水の精霊(=エレメンタル)です。
人間と恋に落ちることもあり、ドイツのフーケーによる『水妖記』はウンディーネと騎士の悲恋を描いています。
様々なTRPGに登場しますが、新和版の『D&D』では「アンダイン」と表記されていました。……英語圏ではそう読むんでしょうか?

  エルフ(Elf)
スカンジナビアにおける妖精「アールヴ」を語源とする言葉で、
美しく善良で天上に住む「リョースアールヴ(=ライト・エルフ)」と、醜く地下に住む「デックアールヴ(=ダーク・エルフ)」に分類されます。
デックアールヴはしばしば「ドヴェルグ(=ドワーフ)」と同一視されています。
その後、北欧の文化がヨーロッパ各地に広まり、「エルフ」の性質も変化していきました。
スコットランドでは人間とほぼ同じサイズの妖精が「エルフ」と呼ばれ、イングランドでは小さな群れをなす妖精が「エルフ」と呼ばれました。
現代のTRPGやマンガ、小説に登場する、人間とほぼ同じ大きさで容姿端麗、性格は繊細で気高く、
弓や魔法に長じている不老不死(またはそれに近い)の種族、というエルフ像は、
J.R.R.トールキンの『ホビットの冒険』や『指輪物語』によって固定化されたものであることは論を待たないでしょう。
日本におけるエルフは、トールキンの描いたそれより、イロイロな意味でさらに「親しみやすく」なっているような気がしますが……
まあ、本来、妖精の性質というものは時と場所によって様々に変化するものなのでしょう。

  エレメンタル(Elemental)
地水火風の四大元素の精霊です。もともと世界が四大元素からなっているという考え方は太古からありましたが、
それに総括的な名前と性質を与えたのは16世紀の錬金術師パラケルススです。彼の著書『妖精の書』によれば、
地の精は「ノーム」、水の精は「ウンディーネ」、火の精は「サラマンダー」、風の精は「シルフ」ということになっています。
なお、エレメンタルには知性はあっても魂はなく、死後、完全に消滅してしまうという説があります。
ただし、人間と恋をして結ばれれば魂を得、不死の存在になるというのです。
このような話においては、エレメンタルは全て美しい女性の姿をしています。

  オーガ(Ogre)
ペローの童話『長靴をはいた猫』に登場する食人鬼です。
中世騎士物語などにも、丘や山に住み、人間を取って食らう狂暴で知能の低い巨人が登場しますが、
これらもオーガと呼ばれるようになりました。
ペローが食人鬼をオーガ(フランス読みでは「オーグル」)と名づけた由来は、オーク同様、
ローマ神話の死と冥府の神「オルクス(Orcus)」からきているという説と、
北欧神話の主神オーディンの別名「ユッグ(Yggr)」からきているという説があります。
TRPGにおいては、オーガは、人間よりも大きいものの、巨人よりも小さい、狂暴な種族として登場することが多いようです。

  オルトス/オルトロス(Orthos/Orthros)
ギリシア神話に登場する三頭三身(一説には双頭)の番犬です。
エキドナとテュポーンの子であり、また母であるエキドナと交わってスフィンクスやネメアの不死身のライオンなどを生ませています。
世界の果ての島エリュティアに住む、やはり三頭三身の怪物ゲリュオンの飼う牛の番犬でしたが、
ヘラクレスにゲリュオンともども殺されてしまいました。

  ガーゴイル(Gargoyle)
「ガーゴイル」とは、本来は怪物のことではなく、キリスト教寺院などの屋根の四隅にある彫像のことです。
ガーゴイルは雨どいの出口にあたり、雨どいに流れる雨水はガーゴイルの「のど」に集まり、口から地面に流れます。
実際、ガーゴイルの語源は、古フランス語の「のど(gargouille)」という単語です。
ガーゴイルのモチーフとしては、動物や人間のほかに、よく幻想的な怪物が使われました。
中でも有名なのがノートル・ダム寺院の、悪魔のような姿形をしたガーゴイルでしょう。
なぜ、寺院や聖堂のような「聖なる場所」に、このような悪魔的な彫像が配置されているかには諸説あるようですが、
いわゆる「魔除け」としての意味と、「雨水とともに悪霊を建物の外に排出する」といった意味があるようです。
ガーゴイルを怪物として扱い始めたのは、おそらくTRPG、それも元祖『D&D』であると思われます。
一見するとただの彫像ですが、実際は魔法などでかりそめの命を吹き込まれた悪魔像で
鋭い爪や角や牙、そして翼をそなえているのが一般的です。
ただ、もはやキャラクターはともかくプレイヤーが「彫像が動き出した」ということに驚くことは少ないでしょうが……。

  カーバンクル
16世紀の南米で目撃された謎の動物。哺乳類か鳥かでさえ定かではなく、
燃えるように輝く宝石を頭にのせていると言われている。カーバンクルとは普通ルビーのことを指すが、
頭の燃えるような輝きがそれに似ていることから、この生物自体がカーバンクルと言われるようになった、
この頭の宝石を触った者には富と幸運がもたらされると信じられているが、
以来今日まで誰にも見つけられてはいない。

  カトブレパス
ローマのプリニウスが記した「博物誌」の中に登場する、エチオピアの国境付近に棲むという怪物。
その姿は牛とも河馬ともつかない。カトブレパスとは「うつむく者」という意味で、重そうな頭を地面すれすれまでに垂らし、
細長い首でやっと支えているかっこうからこの名がついた。
そのためにいつも下を向いていて動きが鈍い。
普段はまぶたを閉じているが、目を見た者を一瞬にして殺す力を持っているという。
(しかしめったに開くことはない)

 クジャタ
イスラムの宇宙論において登場する、4000の目と耳と鼻と口と足をもつ巨大な牡牛。
バハムートに次いで巨大で、1つ1つの目から目へと移動するのに、
人の足では徒歩で500年はかかるといわれるちなみにバハムートの背中に乗っていて、
クジャタの上にはルビーの岩山が、岩山の上には天使が、天使の上には私たちのいる大地があるとされ、
さらにバハムートの下には大海が、大海の下には広大な空気の奈落が、その下には炎がある。
そしてその炎の下にはファラクという名の、全宇宙を呑みこんでしまえるほどの大きさを持った大蛇がいるという。

  クラーケン(Kraken)
北欧の海洋民族バイキングの伝承を起源とする、巨大な海の怪物です。
古代ノルウェー語の「北極(Krake)」が語源であり、その名の通り北極海付近に住むとされています。
デンマークの司教エリック・ポントピダンの『ノルウェー博物誌』によれば、クラーケンの直径は2.5キロもあり、
その触手でどんな大きな船でも抱き込んでしまうと描かれています。
ただし、性質はおとなしく、むやみに人を襲うようなことはしないで、
強烈な匂いや自身の排泄物によって魚を集め、それを捕食しているとのことです。
また、液を吐いて海を黒く染めるという描写もあり、
ここからクラーケンは巨大な頭足類(タコやイカの仲間)かカニの仲間だという説も生まれています。
他にも、巨大な海蛇やドラゴン、ポリプ、ヒトデ、クラゲ、もしくはクジラであるという説もありますが、
現代のRPGや小説などにおいても「クラーケン=巨大なタコ」説が一般的なようです。
小説では、栗本薫がこのクラーケンを気に入っているようで、『グイン・サーガ』シリーズなどによく登場させています。
この場合も、その外見は基本的に巨大なタコでした。
ところで、映画『タイタンの戦い』においては、アンドロメダを襲う海の怪物が
「クラーケン」と呼ばれていました(原典では「クジラ」のはずですが)。
ちなみに、確か巨大な半漁人のような姿をしていたと記憶しています。

  グリフィン/グリフォン/グリュプス(Griffin/Griffon/Gryphios)
基本的には、上半身がワシで、下半身がライオンという怪物です。
ただし、尻尾が蛇であるとか、ワシではなくハゲタカの頭であるとか、ライオンではなく牛の体を持つといった説もあります。
アジアではとさかがありますが、ギリシアではたてがみと馬の耳をそなえています。
砂漠や山間の洞窟に住み、金、または金鉱を守っているという伝説があります。
なお、プリニウスによると、グリフィンは1つ目の種族「アリマスポイ人」と、黄金をめぐってたえず争っているそうです。
ラテン語「グリュプス」の語源は「曲がったクチバシ(Gryps)」から来ていますが、そもそもはインドが起源であると言われています。
紀元前17〜18世紀のインドのタペストリーにその姿が認められ、小アジアに伝わったのが紀元前15〜16世紀、
ギリシアに伝わったのが紀元前14世紀ごろであるとのことです。
ギリシアでは、酒の神ディオニソスの飼っていた生物、もしくは太陽神アポロンの聖獣とされたようです。
また、中世ヨーロッパにおいては、悪魔に創造され生物であるとされる一方で、
反対に「キリストは君臨し、偉大な力をもつゆえに獅子であり、
復活の後に天へ昇るがゆえに鷲である」という考えからキリストの象徴ともされました。


  ケルベロス(Cerberus/Kerberos)
ギリシア神話に登場する、冥府の番犬です。3つの頭をもつ犬で、尻尾は蛇であるとされています。
また、尻尾の蛇は、ドラゴンの頭をしていたようです。
さらに、顎の周り、もしくは全身から無数の蛇が生えているという説もあります。
一説には、その頭は50であるとも100であるとも伝えられています。
例によって、テュポーンとエキドナの子ということになっています。
けして死者を冥府タルタロスから出さず、また生者をタルタロスに入れないことを使命としていますが、
エロス神の恋人プシュケと、詩人オルフェウスの通過を許しています。さらには、ヘラクレスには素手で生け捕りにもされています。

  ケンタウロス(Centaur/Kentauros)
ギリシア神話に登場する半人半馬の種族です。上半身が人間で下半身が四本足の馬(二本足という説もあります)という姿をしています。
有名なケンタウロスに、時の神クロノスと、川の神オケアノスの娘ピリュラの間に生まれた「ケイロン(Cheiron)」がいます。
彼は音楽、医術、弓、予言術などに優れ、医術の神アスクレピオスや、アキレウスを始めとする多くの英雄の師匠となりました。
ただし、ケイロンはケンタウロスのなかでも例外で、ほとんどのケンタウロスは粗野で好色な性格をしています。
テッサリアのラピタイ族の結婚式に招かれ、初めて飲んだ酒に酔って本性をあらわして花嫁をさらおうとし、
テッサリアから追い出されたというエピソードがあります。
また、(上記のエピソードで懲りたのか)酒の管理を厳重にしていたところ、ヘラクレスに酒の釜の蓋を開けられ
、武装して集まったところを逆に返り討ちにあって壊滅したという伝説もあります。
この際、ケイロンも流れ矢に当たってしまいました。
ケイロンは不死でしたが、ヘラクレスの矢にはヒュドラーの猛毒が仕込まれていたため非常に苦しみ、自ら命を絶ったと伝えられています。
天に昇ったケイロンは射手座になりました。そして、生き残りのケンタウロスであるネッソスが、ヘラクレスを殺すことになります。
彼はヘラクレスの妻デイアネイラを襲い、ヘラクレスに射殺されるのですが、
死の間際に、デイアネイラに「自らの血と精液を混ぜて媚薬とすれば、夫の心変わりを防ぐことができる」と告げるのです。
しかし実際はネッソスの血は(ヒュドラーの毒矢で死んだためか)猛毒でした。
ヘラクレスはネッソスの血を染み込ませた服を着たために非常に苦しみ、オイテー山の山頂で燃え盛る炎に飛び込み、
(ケイロンのように)自らの命を絶ったのでした。
なお、ケンタウロスの起源は、テッサリアに侵入してきた遊牧民族のスキタイ人であるという説があります。
TRPGでもケンタウロスのデータはよく設定されていますが、
特に邪悪な種族というわけではないので、敵として登場することはほとんどないようです。

  ゴースト(Ghost)
英語で、死んだ人の霊が未練などによって現世にとどまっている存在、すなわち「幽霊」をあらわす単語です。
西洋の幽霊は日本のそれと異なり足がある、とよく言われますが、白いシーツを頭から被った、個体識別のできないタイプもよく見うけられます。
なお、語源はドイツ語の「祖先の霊(Geist)」で、この単語は英語の「客(guest)」の語源でもあります。
なお、同様に幽霊をあらわす単語に「スペクター」「ファントム」「ホーント」「レイス」などがあります。
たいていのRPGでは、モンスター・データを水増しするために、これらをそれぞれ別の怪物として扱っているようです。

  ゴーレム(Golem)
ユダヤ教のラビ(律法学者)によって命を吹き込まれた、人型の土くれです。
「カバラ(Qabbala)」と呼ばれる聖書系の神秘術によって創造されます。
このカバラの奥義を記したとされる『形成の書』または『創造の書』という名の書物に、ゴーレムの作り方が載っているそうです。
伝説では、11世紀ごろのカバリスト(カバラを使用することのできる人)であるソロモン・イブン・ガビロールや
16世紀ごろのケムルのエリア、17世紀のユダ・ロェーヴ・ベン・ベサベルなる人物がゴーレムを創造したそうです。
その際、「emeth(真理)」または「Schem-hamphorasch(神の名)」といった言葉を記した羊皮紙を、
ゴーレムの額や口内、胸などに貼りつけるとされています。
この紙をはがすとゴーレムは活動を休止し、「emeth」なら最初のe、「Schem-hamphorasch」なら「Schem」を削除すると破壊されます
(「meth」には「死」という意味があります)。なお、ゴーレムはその使用法を誤ると暴走してしまうため、その時は破壊するしかないようです。
ゴーレムとはヘブライ語で「無形、未定形、胎児」をあらわし、最初の人間であったアダムも、
神に息を吹き込まれるまでは土でできたゴーレムであったとされています。
すなわち、ゴーレムを創造することは神のみわざを真似ることだというわけです。
なお、RPGには、原典通りの土でできたゴーレムだけでなく、
木や金属、岩石などで造られたゴーレムが登場しその材質によって様々な能力を有しています。
また、骨や死体などで造られたゴーレムもあり、いわゆる「フランケンシュタインの怪物」も、
死体から創造されたゴーレムであるとされているようです。

  コカトリス(Cockatrice)
古スペイン語の「ワニ(Cocotriz)」を語源とする毒蛇の怪物です。もともとはバジリスクの別名ですが、全く別の怪物と考えることもできます。
特にTRPGなどでは、登場する怪物のバリエーションを増やすために、コカトリスとバジリスクを分けて考えることが多いようです。
コカトリスは、ギリシア・ローマ時代に起源を持つバジリスクの、キリスト教下ヨーロッパにおける別名です
(両者の合成語である「バジリコック(Basilicock)」という別名もあります)。
ただし、名前に「雄鶏(Cock)」という言葉が含まれていることから、よりニワトリに似た性質を付与されています。
その姿は、白い斑点のある金色の羽毛に、大きな鶏冠、ニワトリの頭、
先端のとがった毒の尾、そして2本から8本の足を持つ毒蛇、といったものです。
また、トゲのある大きな翼を持っているという説もあり、
こうなってくると「ニワトリに似た毒蛇」と言うより「毒蛇に似たニワトリ」といった感じになります。
実際、最近描かれているコカトリス像は、二本足の「蛇の胴と尾を持ったニワトリ」といった感じのものが多いようです。
コカトリスは、雄鶏の産んだ卵をヒキガエルが孵化させることによって生まれるとされています。
凄まじい毒の持ち主で、触れることはおろか、近づいたり視線を向けられるだけで死に至るとも言われています。
また、その毒や視線は、生物を石にする力があるともされ、やはり最近ではこちらの能力のほうが一般的なようです。 

 ゴブリン(Goblin)
ドイツの「コボルト」が英語になったもので、醜い子鬼のような姿の妖精です。
体の大きさのわりに力があり、洞窟や鉱山、地下、馬屋、木のうろなど、暗いところに住んでいます。
ただし、例によってJ.R.R.トールキンの『ホビットの冒険』で悪役にされて以来、
気の毒なことに「人間より小型で知能の劣る邪悪な種族」として定着しつつあります。
特にファンタジー系のTRPGなどではその傾向が強いようです。

  コボルト(Kobold)
ギリシア語の「子供」を意味する単語を起源とする、ドイツの妖精です。
めったに人前に姿をあらわしませんが、金髪で赤い絹のコートを着ているといいます。
家の中に住みついて、皿一杯のミルクとひきかえに雑用を(誰にも見られないように)片付けたりする一方、鉱山で金属を盗み、
役に立たない金属を置いて行く(もしくは金属を腐らせる)ということもするようです。なお、コボルトは「コバルト」の語源にもなっています。
ただし、現代のコボルトは、「ゴブリンに似ているが、それよりも小型で弱い種族」として位置付けられているようです。
その外見は、TRPGの『D&D』およびコンピュータRPGの『ウィザードリィ』によって、
全身に青緑の鱗を生やした、犬のような顔の小人とされてしまいました。
また、水野良の小説『ロードス島戦記』のアニメ化作品では、鱗がなくなってただの「犬人間」のようになっていました。

  ゴルゴン/ゴーゴン(Gorgon)
一般的には、メデューサで有名な、ギリシア神話に登場する「ゴルゴンの三姉妹」のことです。
なお、メデューサの2人の姉は、「ステンノー(Sthenno)」と「エウリュアレー(Euryele)」といいます。
もともとは、ポルキュスとケトの兄妹の間に生まれた子供で、祖父母は海の神ポントスと大地の女神ガイアです。
3人とも美しい娘であり、特にメデューサは海神ポセイドンの寵愛を受けていたのですが、
アテナ神の神殿で交わるという大罪を犯した(もしくはただ単に自らの美貌を自慢した)ために、怪物の姿に変えられてしまったという事です。
なお、そのことを抗議した2人の姉も同じ運命をたどりました。
具体的には、蛇(またはドラゴンの鱗)でとりまかれた頭と、イノシシの歯、青銅の手、黄金の翼をもった姿で、
見たものを石にしてしまうという力まであったのでした。
なお、以上の神話は、ギリシアの先住民族ペラスゴイ人の主女神であったメデューサと、その夫であったポセイドンの地位が、
新しい民族と神(ゼウスやアテナなど)に駆逐され、吸収されたことを表しているということです。
ところで、3世紀のギリシアの作家、ミュンドスのアレクアンドロスによれば、リビアの流浪民はカトブレパスのことを「ゴルゴン」と呼んでいるそうです。
TRPGの『D&D』は、恐らくこの説を採用して、鉄のような肌と翼をそなえ、
口から石化ガスを吐き出す怪物を、「ゴーゴン」という名前で設定しました。

  サイクロプス(Cyclops)
ギリシア神話に登場する1つ目の巨人で、ギリシア読みでは「キュクロプス」になります。
天の神ウラノスと大地の女神ガイアの間に、ヘカトンケイル族の次(順番については異説があります)に生まれた種族で、
「ブロンテス(Brontes)=雷鳴」「アルゲス(Arges)=落雷」「ステロペス(Steropes)=電光」という名前の3人組でした。
しかし、彼らはウラノスに疎まれ、ヘカトンケイルともども冥府タルタロスに追放されます。
その後、ウラノスの息子にして時の神であるクロノスによって一時解放されますが結局また幽閉され、最終的にはゼウスによって解放されます。
サイクロプスは鍛冶の技術に優れていたため、クロノスに反乱を起こしているゼウスとその兄弟に、ゼウスの雷霆やハーデスの姿隠しの帽子、
ポセイドンの三叉の槍などを作って協力しました。
また、その後も鍛冶の技術を活かし、鍛冶の神ヘパエストスの助手として、エトナ火山で働いたようです。
なお、サイクロプスには狂暴で愚鈍な面もあり、
シシリア島に住んでいた「ポリュペモス」という名のサイクロプスは、英雄オデュッセウスの一行を襲ったあげく、
逆にオデュッセウスの策略によって、その一つ目を潰されてしまいました。TRPGなどに登場するサイクロプスも、ほとんどはこの類の、
狂暴かつ愚鈍な巨人族として設定されているようです。

  サイレン/セイレーン(Siren/Seiren)
ギリシア神話や、ホメロスの『オデュッセイア』などに登場する一種の魔女で、古代ギリシアの遺跡などに描かれる姿は、
女性の頭部を有する水鳥、もしくは鳥の足と翼をそなえた女性、といったものです。
また、後世においては、翼をそなえた人魚のような姿で描かれることもありました。
なお、「サイレン」は英語読みで、ギリシア語では「セイレーン」です。
サイレンは海域の小島などに住み、その歌声(もしくは楽器の音色)で、近くを通る船の乗組員を誘惑し、船を座礁させたりします。
ただし、意外と繊細な性格なのか、耳に蜜蝋をつめたオデュッセウス一行に無視されたエピソード、
およびアルゴー号に乗っていたオルフェウスの歌声が自分たちの歌声よりも優れていたエピソードにおいて、
プライドを傷つけられて自殺しています。
ちなみに、サイレンは救急車や警報の「サイレン」の語源でもあります。

 サキュバス(Succubus)
男性を誘惑して性的に堕落させることを目的としている、女性型の夢魔です。男性型の夢魔は「インキュバス」と呼ばれます。
ただし、一説にはサキュバスは自由に性別を変えられる(すなわちインキュバスに変身できる)とのことです。
その性質上、TRPGなどに登場することは少ないようですが、
コンピュータ版およびTRPGの『ウィザードリィ』に登場し、妖艶な姿を見せ付けていました。

  サラマンダー(Salamander)
古代ヨーロッパの伝承などに登場する生物で、炎の中でも生きることができるとされていました。
このサラマンダーは、そもそもはサンショウウオのことで、「サンショウウオは肌の粘液によって火の中でも平気である」
という伝説がさらに誇張されたもののようです。
中世では「火の中に住み、火を呼吸し、火を食べるトカゲまたはドラゴン」とされました。また、12世紀の『偽の親書』によれば、
サラマンダーは火の中でマユを作る虫であり、その糸で編んだ布は洗濯の際に水ではなく火の中に投げ込むまなくてはならないとされました。
16世紀の錬金術師パラケルススの『妖精の書』によれば、地水火風の四大元素のうちの火の精霊(=エレメンタル)となっています。
RPGなどのゲームの世界では、その性質などがさらに拡大解釈され、強力な炎の怪物として考えられることが多いようです。
少なくとも、「火竜」などと訳されるその存在が、サンショウウオと同じモノとはとても思えません。

  シルドラ
シルドラとはファリスがつけた名前なので、正確には「シー・サーペント」の一種だと思われる。
シー・サーペントとは体長10〜100mほどの滑らかな皮を持った大海蛇のことだとされている。
(一部では、たてがみがあったとか毛に覆われていたなどの報告もある)世界中で目撃されており、
今までに百数十件もの目撃例がある。かつて話題になった「ネッシー」などもこの類かもしれない。
幻獣というよりはむしろ未確認生命体といったところだろう。
リヴァイアサンやヨルムンガンドも割とこれに似ている。
きっとシー・サーペントを目撃した昔の人々が、そのイメージを神話などにも反映させたのだろう。

  ジン/ジニー(Jinn/Jinni)
アラビアにおける精霊の総称です。「ジン」という単語は複数形であり、単数では「ジニー」になります。
また、女性名詞形は「ジンニヤー(Jinniyah)」です。イスラム教では、人間は土と水で作られ、天使は光で作られ、
ジンは火と風で作られたことになっています。ジンには実体がなく、煙や雲のような気体として現れた後、
人間や巨人、蛇、ジャッカルなどの姿をとるとされています。人間同様、善良な者も邪悪な者もおり、善良なジンは美しく、
邪悪なジンは恐ろしい姿をしているということです。強力なものは、自由に飛行したり、瞬間移動のようなことを行ったり、
はては、幻影から実体をそなえたものまで、さまざまなものを創造したりと、全能に近い能力を有しているように見受けられます。
ジンには5つの階層があり、上からマリード、イフリート、シャイターン、ジン、ジャーンということになっています。
また、ジンの頂点にはイスラム教における堕天使イブリースがいるとされています。
なお、TRPGなどでは、ジンは「精霊の総称」としてではなく、独立したモンスターとして設定されているのが普通のようです。
特に『D&D』で「エアーエレメンタルプレイン(風の精霊の次元)からやってくる魔法の生物」と規定されてからは
、専ら風に関する能力を得たようです。

  ズー(Zu)
メソポタミアの神話に登場する霊鳥です。獅子の頭をした、体長2メートルほどのワシの姿をしており、どんな鳥よりも速く飛んだとされています。
風の力を操る怪物であり、「嵐の鳥」とも呼ばれています。
ズーは神殿の守護獣でしたが、一時、神々の王となる野望を抱き、主神エンリルが水で体を清めている間に、
神々の王となるために必要な「天命のタブレット」を奪いました。
しかし、戦と狩猟の神であるニンギルスに破れ、結局はまたニンギルスの神殿の守護獣に逆戻りしたということです。
なお、ズーには雌雄の別があり、交尾して子孫を残すことになっています。となると、神々に反逆したのがただ一体のズーなのか、
ズーという種族全体なのか、気になるところです。

  スフィンクス(Sphinx)
ギリシア神話に登場する怪物で、基本的には人間の顔にライオンの体を持ち、鳥のような翼、乳房のある胸を持っています。
ただし、体が牛や犬であったり、赤毛であったり、尾がヘビであったりと、その姿については諸説あります。
オルトスとエキドナの子供であるとされています。語源はギリシア語「きつく縛る(Sphink)」だとされています。
スフィンクスは、(「エディプス・コンプレックス」の語源として有名な)テーバイの王オイディプスのエピソードに登場し、
道行く人にに「朝は4本足、昼は2本足、
夜は3本足(もしくは「4本足、2本足、3本足があって足が多いほど弱いもの」)」の有名な謎かけをし、
答えられなかった時は食い殺したといいます。
しかし、オイディプスは「人間」と答え、謎を解かれたスフィンクスは自殺してしまったということです。
なお、スフィンクスはエジプトのギザのピラミッドの近くにあるスフィンクス像で有名で、
その起源自体も古代エジプトであるとするのが定説だそうです。
ただし、エジプトではこれを「スフィンクス」とは呼ばず、
「ルウティ」「シェスプ・アンク」「ホル・エン・アクト」「ホル・アクティ」などと呼んでいました。
エジプトのスフィンクスは神殿や墓所の守護者であり、また王権の象徴だとも言われています。
TRPGにおいては、スフィンクスは知的なモンスターとして設定され、魔法を使用することがしばしばです。
また、手塚治虫の『ユニコ』には、ギリシア神話に登場するそれとほぼ同じ設定の、女性のスフィンクスが登場します。

  スプリガン(Spriggan)
コーンウォールの伝承に登場する、一種の妖精です。その正体は巨人の亡霊であるとされていおり、
妖精たちのボディー・ガードのような役割を持っています。普段は(他の妖精と同様に)小さいのですが、
妖精に無礼を働いたり危害を加えようとした者があった場合、次第に体を大きくさせ、醜く狂暴な正体をあらわにして、
妖精の守護のために働くとされていますTRPG『ソード・ワールド』では、人間の子供に変身することができる邪悪な巨人族として設定されています。

  ゾンビ(Zombie)
ハイチのヴードゥー教の神官によって使役される「生きた死体」です。実際は、テトロドトキシン系の毒薬によって仮死状態にされた極刑者であり、
一度埋葬された後、儀式と薬品によって復活させられ、意思を持たない奴隷として労働に従事させられたのだと言われています。
このようなゾンビは社会的・精神的には死んでいますが、身体的には生きており、腐敗なども進行しません。
ただし、ホラーやスプラッター映画などに登場するゾンビ(=リビング・デッド)は、派手に腐敗し、その独自の欲望によって、
生きている人間を襲うものがほとんどです。
また、TRPGに登場するゾンビは、両者の中間に当たり、だいたいは邪悪な魔法使いによって使役される死体ということになっています。
ところで、映画その他のフィクションに、よく「ゾンビがすぐ背後に来てるのに気付かない」というシチュエーションがありますが……
犠牲者の皆さんはその凄まじい(であろう)腐臭を嗅ぎ取れなかったんでしょうか?
いや、もしかするとゾンビという存在は、通常の死体と異なり、とてもデオドラントなのかもしれませんが。

  タロス(Talos)
ギリシア神話に登場する青銅の巨人で、鍛冶の神ヘパエストス(または伝説の工匠ダイダロス)が、クレタ島の見張りとして作った人造人間です。
アルゴー号のクレタ島上陸を妨害しましたが、魔女メディアの眠りの歌(もしくは眠り薬)によって眠らされた上、
唯一の弱点であるかかとのピンを抜かれ、霊液を抜かれて退治されてしまいました。
TRPG『D&D』に設定されている青銅製のゴーレムは、明らかにこのタロスをモデルにしていると思われます。

  ディアボロス
ディアボロスとはラテン語でずばり悪魔のこと。「中傷者」「非難者」「告発者」などの意味を持っている。
昔ある天使が大天使ミカエルによって地獄に落とされたなれの果てで、
神への復讐として人間を悪の道へと引きずり込むようになったのだといわれている。

  ティアマト(Tiamat)
アッカド(バビロニアとアッシリアの総称)の神話に登場する海水の女神で、巨大なヘビや、七つの頭のドラゴンとして描かれることもあります。
淡水の神であるアプスーと交わり、神々を生みました。
しかし、夫アプスーが自らの子孫にあたる神々と対立した末に殺害されたため、復讐のために、
パ・ビル・サグ、ムシュフシュ、ラハブなどの強力な怪物を生み出しては軍勢とし、自らも神々と争いました。
しかし、英雄神マルドゥークによって殺され、天地創造の材料にされてしまいます。
ところで、コンピュータRPG『ファイナル・ファンタジー』の何作目かで、「風のカオス」としてティアマトが登場していましたが
どちらかと言うとティアマトは水の神であり、彼女を殺したマルドゥークの方が風の属性を有していると思われます。

  デーモン(Demon)
キリスト教における「悪魔」の意であり、「人間にとって有害であるか、人間の未来の進化を破滅させようとする、
非物質的な霊(ゲティングズ)」との定義もあります。
なお、語源はギリシア語の「ダイモーン=霊体(Daemon)」または「神のごとき性質のもの(Daimonion)」とされています。
なお、古代ギリシアにおいては「ダイモーン」という単語は中立的(もしくはやや善良より)な意味合いを持ち、善のダイモーンは「アガトダイモーン(Agathodaemon)」、悪のダイモーンは「カコダイモーン(Cacodaemon)」と呼ばれたようです。
キリスト教では、他にも「サタン(Satan)」「デビル(Devil)」「フィーンド(Fiend)」といった言葉が悪魔を表します。
これらは、それぞれヘブライ語の「敵対者(Satan)」、ギリシア語の「非難者/中傷者(Diabolos)」、
古アングロ・サクソン語の「憎む人/敵(Fiend)」を語源としています。ただし、これらの言葉で表される概念は案外と整理されておらず、
聖書の記述からして「この巨大な竜(=ドラゴン)、年を経た蛇、悪魔(=デビル)とかサタンとか呼ばれるもの、
全人類を惑わすもの……(『ヨハネの黙示録』第12章第9節)」などとなっています。
なお、悪魔の親玉である堕天使ルシフェルの別名を「サタン」とし、定冠詞のついた「デビル」はその称号、
一方で複数形になる「デビル」はサタンの分身もしくは配下の堕天使たち、そして「デーモン」はキリスト教によって悪魔とされた異教の神々を指す、
という整理のしかたを見受けることがあります。その学問的妥当性はともかくとして、なかなかうまい分類法だと思います。
TRPGは、キリスト教とは直接は無関係の世界観を構築していることが多く、
デーモンは本来とはやや違った性質の怪物として設定されていることがほとんどです。
TRPGにおけるデーモンは、その世界における邪神・魔王などの眷属であったり、
異世界からの侵略種族であったり(あるいはこの二つを兼任してたり)することが多いようです。

  テュポーン/テュポーエウス(Typhon/Typhoeus)
ギリシア神話に登場する、(おそらく)最大最強の怪物です。上半身は人間の姿をしていますが
両足はとぐろをまく大蛇の胴体のようで、両肩からは、その目や口から炎(または稲妻)を放つドラゴンの頭をそなえたヘビが100も生えている、
という姿をしていました。また、全身が羽毛に覆われ、体の周囲に常に風を起こしていたとも言われています。
さらに、大変な巨体の持ち主で、いかなる山よりも高く、頭は星をかすめ、両手を伸ばすと世界の端に届いたとされています。
テュポーンは、自らの子クロノスを追放された大地の女神ガイアが、
追放した主神ゼウスに対して復讐するために冥府タルタロスと交わって生んだ子供であるとされています。
また、ゼウスの浮気に怒った彼の妻ヘラが、復讐のためにクロノスにもらった卵から生まれたという説もあるようです。
テュポーンは、生まれたときからの宿命にしたがってオリンポスの神々と戦い、
そのほとんどをエジプトまで敗走せしめ、ただ一人立ち向かったゼウスの手足の腱を切り取って、
コーリュキオンの洞窟に幽閉するまでに追い詰めました。
そして、ゼウスの番を自らのドラゴンの頭から生んだデルピュネーにまかせ、戦いの傷を癒すためにガイアのもとに赴きました。
しかし、そのすきに盗賊の神であるヘルメスとその息子パンによってゼウスを奪還され、
さらには運命の女神にだまされて「無常の果実」を口にしてしまい、最終的にはゼウスによってシチリア島エトナ火山の下に封印されてしまいます。
なお、テュポーンは、蛇女エキドナとの間にオルトス、キマイラ、ケルベロス、スキュラ、ヒュドラー、ラードーンなどの怪物をもうけたとされています。
また、英語の「台風(Typhoon)」は、このテュポーンが語源であるとされています。
テュポーンは、あまりに強大な怪物であるためか、ゲームなどにはほとんど登場しないようです。
あと、確か安彦良和の『アリオン』のアニメ映画化作品には登場しましたが、なぜか巨大な怪鳥のような姿だったと記憶しています。

  デュラハン(Dullahan)
アイルランドに伝わる、首のない妖精(または亡霊)です。自分の首を小脇に抱えた姿で描かれることもあります。
騎士の姿をしていると思われがちですが、実際の伝承では女の姿をしていたようです。コシュタ・バワーと呼ばれる、
やはり首のない馬の引くチャリオット(二輪馬車)に乗って現れ、人の死を予言したと言われています。
その際、戸口でけたたましい音を立て、出てきた家人にたらい一杯の血を浴びせかけたということです。
なお、アーサー王の円卓の騎士の伝説の中には、デュラハンとは別に「首なし騎士」の話もあります。
TRPG『ソード・ワールド』などに登場する、「首なし騎士としてのデュラハン」は、こちらをモデルとしているようです。

  ドッペルゲンガー(Doppelganger)
ドイツ語で「二重に歩くもの(Double-goer)」という意味で、「分身(Double)」などと言う場合もあります。
つまり、もう一人の自分に出会ってしまうという心霊現象です。
言い伝えでは、このドッペルゲンガーに出会ってしまった者は近いうちに死んでしまうということになっています。
なお、スコットランドのレイスも、死の間際に見る自らの幻影だと言われています。ドッペルゲンガーは多くの文学作品の題材になっています。
またゲーテ、ムンク、芥川龍之介などの文学者・芸術家の中にも、実際にドッペルゲンガーと遭遇したという人がいるようです。
なお、TRPG『D&D』『ソード・ワールド』などにおいては、ドッペルゲンガーは、変身能力を持ち、
いつのまにか本人を殺して入れ替わっている怪物として設定されています。ある意味では、
このようなドッペルゲンガーも、「出会ったら死ななくてはならない」という性質を持っていると言えるでしょう。

  ドライアド(Dryad)
ギリシア神話に登場する木のニンフ(精霊)です。緑色の髪の毛をした乙女の姿をしており、1人につき1本、自らが宿る樹木があります。
ドライアドは、この木からあまり離れて活動することはできず、またこの木が枯れたり倒れたりしたとき、
ドライアドも運命をともにします。なお、柏の木のドライアドは特別に「ハマドリアド(Hamadryad)」と呼ばれたようです。
ドライアドは森林の守護者であり、月と狩猟の女神アルテミスの眷族でもあったようです。
ミツバチを使役することができ、自らのプライドを傷つけた恋人の両目を、ミツバチに刺させて失明させてしまった、という伝説もあります。

  ドラゴン(Dragon)
ドラゴンは、広義には巨大な爬虫類型の怪物の総称です。
ワームやワィバーンのような翼を持つ爬虫類型の怪物や、ヒュドラーやラードーンのような巨大なヘビの怪物も、
ドラゴンの一種とされることがあります。
狭義には、ドラゴンは4本の足をそなえた爬虫類型の怪物と言えそうです。
たいていはコウモリに似た翼をそなえ、頭からは角を生やし、毒や炎を口から吐きます。
ギリシア神話では、その歯から武装した兵隊スパルトイが生まれました。
また、ゲルマン神話においては、英雄ジークフリートがドラゴンの血を浴びて無敵の肉体を手に入れ、
心臓を口にして鳥や動物の言葉が分かるようになったとされています。
また、ドラゴンの頭を生きたまま切り落とすと、その脳の内部が固まって宝石となる、という伝説もあります。
ドラゴンは多くの伝説において、財宝を守護し、乙女をさらっては幽閉します。そして英雄は、その財宝や乙女を求めてドラゴンを倒すのです。
そしてその際、ドラゴンを倒した英雄には、ドラゴンの強い力の一部が宿ることになるのが普通です。
また、キリスト教におけるドラゴンは、神の敵、すなわち悪魔の象徴です。
『ヨハネの黙示録』には「火のように赤い大きな竜」が登場し、「これには7つの頭と10本の角」があったとされています。
このドラゴンは「年を経た蛇、悪魔とかサタンとか呼ばれるもの、全人類を惑わすもの……(『ヨハネの黙示録』第12章第9節)」であり、
大天使ミカエルに敗れ、地獄へと投げ落とされてしまいました。
また、キリスト教の聖人伝においては、聖ゲオルギウス、聖シルウェステル、聖ダニエル、聖ドナトゥス、聖マタイ、聖マルガレータなどによって、
ドラゴンが退治されています。
この中でも聖ゲオルギウス(英語読みではジョージ)によるドラゴン退治は特に有名であり、絵画の題材などにもなっています。
ドラゴンの起源は、各文明圏で発生した、河川や大地の神として崇拝されていた蛇神であると考えられます。
ただし、これらの神は、より新しい神々によって駆逐され、新しい神話体系に「蛇の姿の怪物」として組みこまれたのでしょう。
なお、「ドラゴン」という言葉の語源は、
ラテン語の「素早く見まわす(Derkesthai)」、もしくはサンスクリット語の「蛇(Drigvesha)」であるなどと言われています。
ドラゴンは現代の文学作品などにも多く登場します。その中でも、J.R.R.トールキンの『ホビットの冒険』や、
アーシュラ・K・ル=グウィンの『ゲド戦記』、ゴードン・R・ディクスンの『ドラゴンになった青年』、
マイクル・ムアコックの『エルリック・サーガ』などが有名でしょうか。
また、ファンタジーTRPGにおいて、ドラゴンはしばしば最強のモンスターとして設定されています。
その際、ドラゴンを色によって分類し、その区別によって繰り出すブレス(息)の種類が違う、という扱いもあります。
ドラゴンとは、最も人に知られたモンスターの一つであり、ファンタジーそのものの象徴であると言えるでしょう。

  トロル(Troll)
北欧神話に起源を持つ種族です。北欧神話に登場する小人ドワーフもしくは巨人ヨトゥンの末裔である、という説もあります。
なお、キリスト教が一般化してからは、イヴが神の目から隠そうとした自らの子供である、という伝説も生まれました。
背中に大きなこぶを持つ、長い鼻をもったヒューマノイドで、牛のような尻尾をもつという姿が一般的です。
なお、2つないし3つの頭部を有している場合もあるようです。
その大きさに関しては様々な伝承があり、巨人として描かれることもあれば、人間と同じか、やや小さいものとされることもあります。
トロルは肉体的に強い力を有しているほか、変身能力や、
自分の姿を見えなくするなどの幻術にも長け、さらには予知能力を有していることもあるようです。
大陸系のトロルはさして邪悪というわけではなく、妖精の一種と考えられなくもありません。
ただし、大変な食欲を持ち、盗癖があり、
人間の子供と自分の子供(もしくは変身した自分自身)を交換する「取り替え子」をはたらくときもあります。
一方、サクソン人のブリテン島侵入とともにイギリスに渡ってきたトロルは、邪悪で狂暴な種族とされ、
また日光に弱い、という特徴も有するようになりました。
ヤンソン描くところの「ムーミントロール」や、『となりのトトロ』に登場する「トトロ」などは、妖精的な性質が拡大されたトロルであると言えそうです。
また、J.R.R.トールキンの著作や、TRPGに登場するトロルなどは、イギリスの伝承に登場するトロル像を反映し、
貪欲で危険なモンスターとして描かれています。
特にTRPG『ウォーハンマー』に登場するトロルは、戦闘中でも手近な岩や持っている棍棒などをかじり始めるという、
とてもインパクトのある怪物として設定されていました。

  ドワーフ(Dwarf)
普通は地下に住む小人族で、北欧の「小人(Dvergr)」という言葉を語源に持ちます。
北欧神話においては、原初の巨人ユミルの死体からわいてでたウジ虫を起源としています。
醜く頭でっかちで、長い腕とあごひげを持っており、日光に当たると石になる(または死んでしまう)とも伝えられています。
男性しかおらず、子孫は粘土から作るそうです。
なお、北欧神話に登場する魔法の品々は、そのほとんどがドワーフの手によるものです。
J.R.R.トールキンの『ホビットの冒険』および『指輪物語』に登場するドワーフは、北欧神話のそれよりやや人間らしくなっています。
また、斧などを手に勇敢に戦う戦士であり、陽気で頑固でやや排他的な種族とされています。
また、童話『白雪姫』に登場する「小人」もドワーフであり、ディズニー・アニメに登場する例の連中も、ドワーフの一典型であると言えるでしょう。
ドワーフは、エルフとともに、TRPGに頻繁に登場する種族であり、その性質は、
通常トールキンの描くところのイメージにそったものになっています。

  ナイツオブラウンド
knights=騎士  round (table)=円卓  で、「円卓の騎士」。円卓の騎士とは、ケルト神話に登場する
アーサー王と彼に従った騎士たちのことを指す。
アーサーが湖の精霊から借り受けたとされる聖剣エクスカリバーはあまりにも有名。
円卓の騎士の由来は、アーサーが全ての騎士を平等に見るために、円形のテーブルに座らせたことからきている。
アーサー王は5〜6世紀ごろに実在したとされる武将で、後のブリタニア王になった。
余談だが、円卓が13席(キリスト教において不吉な数字)であることや、
物語中に「聖杯」(キリストが最後の晩餐に使った杯。十字架にかけられたキリストの血を集めたともされる)
などの重要なアイテムが登場することから、キリスト教の影響を色濃くうけているのではとも思われる。

  ニンフ/ニュムペー(Nymphe)
ギリシア神話に登場する女性の精霊の総称です。海や川、谷、樹木などの自然物や、街、国などの精霊として知られています。
ギリシア語では「ニュムペー」と発音し、「花嫁」または「若い娘」を意味する言葉だったようです。
ニンフは若く美しい女性の姿をしており、その性格は純真で自由闊達です。
恋多き種族でもあり、神々を始めとしてさまざまな他種族とのロマンスが知られています。
主神ゼウスに迫られた挙句に大熊座になってしまったカリストや、太陽神アポロンに迫られた挙句に月桂樹になってしまったダプネ、
サイクロプスのポリュペモスに迫られたガラティア、ナルキッソスに拒まれたエコーなどは、
みなニンフであると言われています(みんな、ろくなロマンスじゃないような気がしますが……)。
ニンフには、彼女達がの宿るものや場所によって様々な種類があり、
海のニンフは「ネレイデス(Nereides)」または「オケアニデス(Okeanides)」、池や泉のニンフは「ナイアデス(Naiades)」、
山のニンフは「オレアデス(Oreades)」、森のニンフは「アルセイデス(Alseides)」、谷間のニンフは「ナパイアイ(Napaiai)」と呼ばれます。
また、「ドリュアデス(単数形はドライアド)」は木のニンフのことです。

  ノーム(Gnome)
16世紀の錬金術師パラケルススの造語で、ギリシア語の「大地(Ge)」と「住み家(Nomos)」を組み合わせたものです。
彼の『妖精の書』によると、地水火風の四大元素のうちの地の精霊(=エレメンタル)ということになっています。
老人のような髭を生やした小人の姿をしており、地中に住んで財宝を守っているとされています。
また、その名前からギリシア語の「知恵(Gnosis)」という単語が連想され、
「地中などの隠された財宝の場所を知るもの」として位置付けられているようです。
ノームは、比較的あたらしい名前であるため、コボルトやピグミーのような、
地中に住む妖精の総称(あるいは別称)であるとの考え方もあるようです。
ただし、現代の文学やTRPGの世界では、独立した種族と考えられています。
特に、ヴィル・ヒュイゲン(文)とリーン・ポールトフリート(絵)による『ノーム』および『秘密のノーム』に登場する、
赤いとんがり帽子をかぶったノーム達は有名です。

  ノッカー(Knocker)
コーンウォールに伝わる鉱山の妖精です。良い鉱脈、もしくは危険な坑道を、「ノック」によって教えることからこの名前があります。
キリストの十字架を作ったために永遠に坑道で働く羽目になったユダヤ人のなれのはてである、という伝説もあります。
その姿を見たものはおらず、姿を見たものには足が動かなくなるなどの呪いがふりかかるとも言われます。
ただし、他の地下の妖精と同様、小さな老人の姿で描かれることが多いようです。

  ハーデス
ハデスとも。ギリシャ神話に登場するクロノスとレアの子。ゼウスの長兄でもある。
ゼウスやポセイドンと共に世界の覇権を握っていた父クロノスを倒した後、冥界の支配者となった。
厳格で冷酷な性格だが邪悪ではなく、富をもたらす神プルートとしても知られている。
ちなみにハーデスとは、「見えない者」という意味である。


  ハーピー/ハルピュイア(Harpy/Harpuia)
ギリシア神話に登場する怪鳥です。「ハーピー」は英語名、「ハルピュイア」はラテン語名で、
語源はギリシア語の「ひったくる(Harpazein)」だと言われています。
女性の頭、もしくは上半身をもった鳥(特にハゲタカ)として描かれており、人間の腕があるかないかは、描写によって異なるようです。
ハーピーは神の使者であり、冥府の神ハデスや主神ゼウス、太陽神アポロンなどが使役しました。
ただし汚れ役専門で、神の怒りを買ったサルオデュッソスの王ピネウスの食卓を毎日のように襲い、排泄物で汚すなどの働きが有名です。
なお、このハーピー達は、ハーピー族の一人ケライノの息子カライスとゼテスによって退治されてしまいました。
このように、ギリシア神話においては不潔な怪鳥とされるハーピーですが、もともとはクレタにおける風の女神であったと考えられています。
TRPGに登場するハーピーは、催眠効果のある歌を唄うことが多いようですが、これはサイレンと混同されてのことだと思われます。
また、ファミコンソフト『キング・オブ・キングス』でも空中ユニットとして登場しましたが
グラフィックを見る限りでは男性になっており、三叉の槍のようなものを操っていました。
まあ、「排泄物で攻撃する女性型の怪物」というのは、あまり絵にならないものなのかもしれませんが……。

  バジリスク(Basilisk)
古代ギリシア・ローマ時代から伝わる毒蛇の怪物です。伝説上は、
(全てのアフリカの毒蛇がそうなのですが)ペルセウスに退治されたメデューサの血から生まれたことになっています。)
プリニウスの『博物誌』に記されたところによると、リビア東部の砂漠に住む猛毒をもつ蛇で、砂漠の毒蛇すべての王であるとされています。
そもそも、バジリスクの語源はギリシア語の「小さな王(Basiliskos)」で、頭の後ろに王冠のような白い模様があるそうです。
なお、このことから、プリニウスの言うところのバジリスクとは、エジプトコブラのことではないかという説もあります。
バジリスクの特徴として最も大きなものは、その毒です。バジリスクの毒は非常に強力で、
その息に触れただけで動物は死に、植物は枯れ、巣穴の近くは荒野になってしまうほどでした。
また、バジリスクを槍で刺した騎士が、槍を伝わった毒で死に、さらには騎士が乗っていた馬まで死んでしまったという伝説もあります。
ただし、イタチだけはこのバジリスクの毒に耐性があり、バジリスクを退治することができたとされています。
なお、中世になってからは、バジリスクは6から8本の水かきのついた足を持つトカゲのような怪物となりました。
また、このころからバジリスクはコカトリスもしくはバジリコックとも呼ばれるようになり、
猛毒ではなく、相手を石化させる視線という能力を有するようになりました。
TRPGにおいては、設定モンスターのバリエーションを水増しするために、バジリスクとコカトリスを別の怪物とするのが普通のようです。
その際、バジリスクは6〜8本足のトカゲまたは翼のない小型のドラゴン
、コカトリスは蛇とニワトリが合成された怪物として描かれることが多いようです。

  パズズ(Pazuzu)
メソポタミアの伝説に登場する怪物です。
ただし、怪物というよりは「悪魔」とか「魔王」とでも呼ぶべき大いなる存在で、熱風と疫病を操ります。
その姿は、人間の体にライオンの頭と両腕、2対の鳥の翼、ワシの脚、サソリの尾を持ち、
額からは1本の角が生え、その性器はヘビの頭になっています。
ところで、コンピュータRPG『ウィザードリィ』には、「マイルフィック」と呼ばれる強力なモンスターが登場しますが、
末弥純描くところのその姿は、このパズズそっくりに見えます。ただし、残念ながらこの両者の関係については不明です。

  バハムート(Bahamut)
聖書などに登場する巨大な獣ベヒモスの、アラビアにおける別名ですが、実際はその姿は大きく異なっています。
バハムートは巨大な魚であり、伝説によれば、この世界そのものを支えて、
闇の上に広がる水(または霧の上に広がる風)の中を泳いでいるとのことです。
また、この世界の海をバハムートの鼻腔の中に置くと、それは砂漠の中のカラシの種ほどにしか見えないとも言われています。
コンピュータRPG『ファイナル・ファンタジー』シリーズにおいては、バハムートは海竜のような姿で描かれていました。
しかし、こんなものを召還してしまったら、敵味方どころか世界そのものが滅茶苦茶になりそうな気がします。

  パ・ビル・サグ(Pa bil sag)
アッカド(バビロニアとアッシリアの総称)の神話に登場する、女神ティアマトが、他の神々に復讐するために生んだ怪物の1つです。
その名前はバビロニアの言葉で「サソリの尾」を意味し、サソリの尾を生やした人間という姿をしています。
ただし、バビロニアの長い歴史の中でその形は変わっていき、後には、サソリの尾を有したケンタウロスのような半人半馬で、
背中からは鳥の翼を生やし、首の後ろからは犬のような獣の頭が生えている、という姿で描かれるようになりました
(おそらく、当時の人々が「強い」と思うものが全てごたまぜにされた結果なのでしょう)。
パ・ビル・サグは弓矢を扱うことに長じていたらしく、そのような図版が多く発掘されるそうです。
また、射手座のもともとのモデルは、ケンタウロスのケイロンではなく、このパ・ビル・サグだったと言われています。

  バルログ(Balrog)
J.R.R.トールキンの『指輪物語』などに登場する、悪神モルゴスに仕える種族です。
物語世界の中では、堕落した炎の精霊であるとされています。
基本的には人間に近いプロポーションをしているようですが、右手には燃える炎のような剣を、
左手には炎の鞭を持ち、背中には翼があるようです。
なお、この怪物は完全なトールキンのオリジナルなのですが、TRPG『T&T』にはきちんと実名で登場しています。
また、見田竜介のマンガ『ドラゴン・ハーフ』にも、剣と鞭を持ち、翼をそなえた大猿のような怪物として登場していました。

  ヒュドラー(Hydra)
ギリシア神話に登場する毒蛇の怪物です。9つの首を持つ大蛇とされていますが、頭の数に関しては5つから一万まで諸説あります。
なお、その頭のうち1つは不死であったとされています。
テュポーンとエキドナの間に生まれた怪物で、ヘラクレスの12の功業のエピソードに登場します。
そもそもヒュドラーは、ヘラクレスを憎む女神ヘラが、彼に試練を与えるため(または嫌がらせをするため?)に、
レルネのアミュモネ河水源近くで飼っていたもので、これを倒すのがヘラクレスの2番目の功業となりました。
しかし、 ヒュドラーの毒は強力である上、首を切り落としてもまた新しい首が傷口から生えてくるという厄介な性質を有していました
(一説には首が傷口から二つ生えてくるという念の入りようです)。
結局、ヘラクレスは従兄弟のイオラオスの知恵により、傷口を焼くことによってその再生能力を封じ、
不死の頭は地中に埋めてその上に大石を置くことによって退治しました。
この際、大ガニの怪物カルキノスがヘラクレスを妨害しようとしましたが、彼に踏み潰されています。
その後、ヘラによってヒュドラーはウミヘビ座に、カルキノスはカニ座になりました。
しかし、このヒュドラー退治は、イオラオスの力を借りてなしたものとして、ヘラクレスの功業とは認められなかったということです
(そもそもヘラクレスの試練はもともと10用意されていたのですが、このヒュドラー退治と
、エウリュステスの家畜小屋掃除がカウントされなかったため、12になってしまったのです)。
なお、ヘラクレスは自らの弓矢をヒュドラーの毒にひたし、強力な毒矢を作りましたが、
この毒矢はケンタウロスのケイロンを殺した上、ヘラクレス自身の死の遠因にもなります。
ヒュドラーはポピュラーな怪物であるため、TRPGでも恐ろしいモンスターとしてよく登場します。
ただし、原典通り毒を持っているかどうかや、そもそもその体に足がついているのかどうかなどは、システムによって違うようです。
たまに火を吐かせたり翼があったり(それじゃキングギドラだ……)、いろいろ亜種がいる、ということになっています。

  ファントム(Phantom)
英語で「幻影/幽霊」を表す言葉の一つで、ギリシア語の「幻」を語源としているようです。
通常、TRPGでは「ゴースト」系統のアンデッド・モンスターの名称に利用されています。

  フェニックス(Phoenix)
ギリシアやローマの伝承に登場する霊鳥で、その伝承の中ではエジプトで生まれてアラビアに住むとされています。
ただし、エジプトにはフェニックスに関する伝説は存在しないようです。
なお、ギリシアやローマの発音では「ポイニクス」になり、「深紅の鳥」という意味です。
ヘロドトスの『歴史』やプリニウスの『博物誌』によると、ワシに似た鳥で、赤を基調として、
様々な色合いの羽毛に包まれた鳥であったようです。
フェニックスと言うと日本では「不死鳥」などとよく訳されますが、もともとはヒナ鳥が父親の死体をエジプトのヘリオポリスに運び、
没薬でそれを包み込むというだけだったようです。
そこから、死体から生じた虫が新しいフェニックスになるという伝説が生まれ、最終的に、香料と薪の山の中で自ら焚死し、
その灰の中から甦るということになりました。
なお、フェニックスの生まれてから自らを燃やし、再生するまでのサイクルは、500年から540年、654年、1461年と諸説あります。
フェニックスの登場する物語としては、やはり手塚治虫の『火の鳥』が真っ先に思いつきます。
ただし、あの「火の鳥」は、ワシではなく(どちらかと言えば)クジャクに似たプロポーションをしていましたが……。

  フェンリル(Fenrir)
北欧神話に登場する狼で、悪神ロキの息子の1人でもあります。
「いずれ太陽までも呑みこむ」との預言があったため、「グレイプニル」という名の魔法のヒモによって拘束されてしまいました。
ただし、その代償として戦神ティールの右腕を食いちぎっています。
北欧神話における世界の終末ラグナロクにおいて、巨人族フリムスルスの側につき、主神オーディンを呑みこみますが、
オーディンの息子であるヴィーザル神によって殺されるという運命を有しています。

  フォモール/フォウォール(Fomor)
ケルト神話に登場する巨人族です。「海淵に住むもの/海の下」という意味です。その起源は、
アイルランドやスコットランドの先住民族であるという説や、逆に海賊行為を行っていた北欧在住のゲルマン人であるという説があります。
フォモールはヤギや牛、馬の頭を有していたり、腕が一本しかなかったりと、外見的に人間とは明らかに異なっています。
また、種族全体が疫病を運びこむのだという説もあります。有名なフォモールに、四肢をもたない「キコル/キッホル(Cichol)」、
視線によって人を殺す「バラー/ バロール(Balor)」などがいます。
特にバラーは「魔眼(邪眼)のバラー」として有名で、その魔力を封じるための銀製のまぶたを開くためには、
何人もの勇者が熊手や滑車を使わなくてはならなかった(それほどの巨体だったということでしょうか?)と伝えられています。
なお、マイクル・ムアコックの『紅衣の公子コルム』シリーズに登場する「フォイ・ミョーア」の一族は、明らかにこのフォモールであると思われます。

  ブラウニー(Brownie/Browney)
スコットランドをはじめイギリス全土の伝承に登場する妖精です。茶色の毛で覆われた小人(とくに老人)の姿をしており、
やはり茶色のボロをまとっていると言われていますが、地方によってその姿は異なるようです。
家事好きで、少量のミルクや食べ物を報酬に、さまざまな家事をこなしてくれますが、特に蜜を取るためのハチを集めるのが得意なようです。
ただし、片付いているものを散らかすといったイタズラをすることもあります。
また、報酬として衣服を贈ってしまうと、どこかへ去ってしまうとされています。

  ペガサス/ペガソス(Pegasus)
ギリシア神話に登場する翼の生えた馬で、よく「天馬」などと訳されます。
しばしば、純白の翼をそなえた白馬として描写されます。「ペガサス」は英語読みで、ギリシアでは「ペガソス」と発音していたようです。
英雄ペルセウスが、メデューサの首を切り落としたとき、その滴る血からクリューサオールとともに生まれたといわれています。
生まれてすぐ、ペガサスはメデューサが殺されたことをゴルゴンの他の姉妹に知らせに行ったと言われていますが、
ペルセウスがその場で自らの乗馬にしてしまったという説もあります(こちらの方がヒロイックな話ではあります)。
その後、主神ゼウスの雷を運ぶ馬となったり、女神アテナが捕まえて芸術の女神達ミューズに贈られたり、
美貌の英雄ベレロポンの乗馬となってキマイラ退治に協力したり、太陽神アポロンの使いとなったりしています。
現代のフィクションやTRPGにおいても、ペガサスは「善」の側の存在であることが多く、
英雄などの乗馬として活躍することがあります。ファミコンソフト『ファイアー・エムブレム』のユニット「ペガサスナイト」などは、特に有名です。
ただ、「ペガサスに乗った英雄」というのは、ベタと言えばあまりにベタな設定ではありますが……。

  ヘカトンケイル(Hekatoncheir)
ギリシア神話に登場する巨人族で、100もの腕と50もの頭を有していたといわれています。
天の神ウラノスと大地の女神ガイアの間に、最初(順番については異説があります)に生まれた種族で、
「ギュゲス(Gyges)=大きな手足を持つもの」「コットス(Kottos)=怒り」「ブリアレオス(Briareos)=活力」という名前の3人組でした。
しかし、彼らはウラノスに疎まれ、一つ目の巨人サイクロプスの一族とともに冥府タルタロスに追放されます。
その後、ウラノスの息子である時の神クロノスによって一時解放されますが結局また幽閉され、最終的にはゼウスによって解放されます。
ヘカトンケイルは、タイタン族に対するゼウスの反乱に協力し、戦争の後は冥府タルタロスに幽閉されたタイタン達の牢番となりました。
ヘカトンケイルは、兄弟種族であるサイクロプスなどに比べ、神話でも、
また現代のファンタジー小説やTRPGなどでも、あまり活躍が見られません。
それはやはり、100の腕と50の頭というその姿が、あまりにケタ外れで想像しにくいためだと思われます。
ヘカトンケイルは、今でも、その姿ゆえに封印された種族なのだといえるのかもしれません。

  ベヒモス/ベヘモス/ベヘモト(Behemoth)
ユダヤの伝承や聖書などに登場する巨大な獣です。カバや水牛、サイの姿で描かれ、沼沢地に住むとされています。
骨は金属のように硬く、尾は西洋杉の木のように太く、ヨルダン河があふれてもそれを呑み尽くすほどだと言われています。
もともとベヒモスは天地創造の6日目(もしくは5日目)に造られた怪物であり、
世界の終末にはリヴァイアサンを殺した後に神に殺され、リヴァイアサンともども、選ばれた民の食料になるものだとされています。
ちなみに、ベヒモスの伝説はアラビアに伝わってバハムートとなりました。
なお、中世の悪魔学ではベヒモスは悪魔の一種とみなされ、サタンの別名ともされました。その姿も直立したゾウとして描かれています。

  ペリュトン(Peryton)
中近東の伝承に登場する怪物です。アトランティスが原産(?)で、
地中海沿岸に出没し、頭と脚がシカ、胴体が青い羽毛の鳥という姿をしています。
ペリュトンは神に見捨てられた人間の魂のなれの果てであり、それゆえにペリュトンの落とす影は人間の形をしているということです。
そして、人間を一人殺すと、ペリュトンは本来の影を取り戻し、いずこへかと去ってしまう(つまり昇天する?)とされています。
そのため、常に人を見ると攻撃をしかけるという、危険な怪物です。
また、しばしば群を作って、船や沿岸の都市を襲撃するといわれています。
ローマ市が滅びるときは、このペリュトンが現れるとされています。

  ヘル・ハウンド(Hell Hound)
イギリスの伝承に登場する怪物で、真っ黒な猟犬の姿をしています。
また、目は赤く光り、口からは硫黄の匂いのする炎を吐いているとも言われています。
姿を見えなくしたり、逆に姿だけを見せて音を立てなかったりということができ、
また強烈な閃光を伴う爆発を起こして姿を消してしまうということもあるようです
一般に、死者の亡霊であるとか、悪魔の化身であるなどと考えられ、目撃するだけで死に至るとも言われています。
ただし、地方によっては妖精の一種だとされており、そのような場合は人間に危害を加えず、
むしろ子供の守り神とされていることもあるようです。
TRPGにおいては、炎を吐く危険なモンスターとして設定されています。
また、コナン・ドイルの『バスカヴィル家の犬』は、このヘルハウンドの伝承をもとに執筆されたようです。

  ホーント(Haunt)
もともとは「たびたび行く/(幽霊などが)出没する」という動詞だったのですが、
転じて建物などにとりつく幽霊という意味になりました。
TRPGでは「ゴースト」系統のアンデッド・モンスターの名称に利用されています。
なお、手元の辞書では、「haunt」という単語にの欄に、名詞としての用法は記載されていません。
ただし、『D&D』でモンスターの名称とされている以上、少なくともアメリカなどでは、
俗語として「幽霊」をあらわす単語として使用されているのだと思われます

  ボギー(Bogy)
英語における小児語で、「お化け/妖怪」を表す言葉です。
イタズラ好きで人間を脅かすのを好む性悪な妖精ですが、あまり頭はよくありません。
定まった形はなく、舞い上がるチリのようであるとされることもありますが、小さな人間の姿で描写されることもあるようです。

  ホビット(Hobbit)
J.R.R.トールキンの『ホビットの冒険』や『指輪物語』に登場する種族です。
太った子供のような姿と大きさをしており、大きな足の裏には巻き毛が生えています。
手先が器用な上に敏捷で、食事とタバコを何よりも好みます。気質的には陽気でお祭り好きですが、芯の強い種族でもあるようです。
ウサギ(つまり「ラビット(Rabbit)」)を擬人化した種族であるとの説もあります。
TRPGの元祖、『D&D』においては、この種族を「ハーフリング(Halfling)」という名前で登場させています。
「ホビット」という名称をそのまま使用しなかったのは、版権の問題等が生じるのを避けたためでしょう。
また、『ソード・ワールド』にも「グラスランナー(Grass-runner)」なる小人の種族が登場しますが、
外見的にはほっそりとしており、全くホビットと同じというわけではありません。
一方、『T&T』では、そのままずばり「ホビット」という種族が登場します。
バルログをそのままの名前でモンスターに設定した件といい、フライング・バッファロー社はなかなか大胆なとこだと思います。

  ホブゴブリン/ホッブ(Hobgoblin/Hob)
イギリスの伝承に登場する、人懐っこい家事好きの妖精です。ブラウニーやパックなどは、このホブゴブリンの仲間であるとされています。
人間の子供くらいの大きさで、全身が毛に覆われていたり、サテュロスのように下半身がヤギで角を生やした姿で描かれたりします。
ミルクや少量の食事で家事を行いますが、イタズラもしかけます。
また、家事に対する礼として衣服を贈ったり、名前をつけてやると、喜びのあまりどこかへ去ってしまうということがあるようです。
なお、現代のフィクションやTRPGにおけるホブゴブリンは、ゴブリンが悪役種族になってしまったためか、
やはり邪悪な小鬼のような種族として扱われることが多いようです。
特に、ゴブリンより一回り大きな、兄貴分か親分的存在(それでもやられキャラですが)とされているのをよく見かけます。

  ホムンクルス(Homunculus)
錬金術の技法によって創造される人造人間で、ラテン語で「小さい人」という意味です。
人間と変わらぬ姿をしていますが、非常に小さく、通常は蒸留器のガラスの中でしか生きられません。
ホムンクルスは純粋な理性によって誕生する人間であり、誰に教えられなくとも言葉を話すことが可能で、
ゲーテの『ファウスト』に登場するホムンクルスは、非常に知的な会話をします。
エレメンタルたちの名付け親である16世紀の錬金術師パラケルススによれば、男性の精液を腐敗させ、
それに人間の血液を与えるなどの一定の処理を施すことによって、
ホムンクルスを発生させることができるということです。なお、彼によると、このホムンクルスは精霊に近い存在で、
成長すると伝説の小人や巨人になることもあるということです。

  ポルターガイスト(Poltergeist)
ドイツ語で「騒がしい幽霊」という意味で、よく「騒霊現象」などと訳されます。誰も触れていないのに、
道具や家具が音をたてたり動いたりすることで、モンスターというよりは一種の心霊現象です。
少年少女のいる家庭に多く起こるため、
抑圧された思春期のエネルギーが無自覚な念力の形で暴走したもの、という解釈が好まれます。
ただし、実際のところ真相はもっと単純で、単なる子供のイタズラであることがほとんどのようです。
なお、ポルターガイストの正体が「念力」と思われるようになったのは、当然ながら現代になってからです。
過去においては、ポルターガイストは不可視の霊やデーモンの仕業だと考えられたようです。

  マンドラゴラ/マンドレイク(Mandragora/Mandrake)
人間の形の根を持つ有毒の植物で、別名「アルラウネ」とも呼ばれます。
死刑囚(特に冤罪による死刑囚)の涙や体液が滴った地面から生えるとされています
性別があり、白いマンドラゴラは男で、黒いマンドラゴラは女だそうです。
マンドラゴラは薬草にもなり、葉や実の部分には麻酔・催眠などの効果を有する成分を含んでいるとされ、
根の部分は媚薬であるとも、万病に効く霊薬であるとも言われています。
かつてはエジプトの女王クレオパトラが使用したとされ、『創世記』にも登場するなど、由緒正しい薬草です。
また、マンドラゴラには宝捜しや護身のお守りとしての効果があるとも言われています。
さらには、うまく世話をすれば人間の質問に答えて未来を予言したり、供えられた一枚の金貨を二枚に増やしたりするという伝説もあります。
こうなってくると、マンドラゴラをただの草花でなくてモンスターと呼んでよさそうです。
ただし、マンドラゴラは、地面から引きぬかれるときに恐ろしい絶叫をあげ、
それを聞いたものは死んでしまうとか、発狂するなどと言われています。
そのため、マンドラゴラを安全に採取するためには、その根にヒモの片方を結びつけ、
もう片方を犬につないで、その犬にマンドラゴラを引きぬかせるという方法があります。
この場合、犬はマンドラゴラの叫びをまともに聞いて死んでしまいますが……。
TRPG『D&D』には、「マンドレイク」という名前のモンスターが登場しますが、
これは「人間(Man)」と「ドレイク(Drake/ドラゴンの別名)」の合成語のようで、
薬草のマンドラゴラとは待ったく別の怪物でした。
一方『ソード・ワールド』では、マンドラゴラとアルラウネを類縁種族として別々にデータを設定しています。

  ミドガルズオルム(Midgardsormr]
北欧神話に登場する巨大なヘビで、自分の尾をくわえた姿で海底に横たわり、
世界全体を囲んでいると言われています人間の住むこの世界そのものの名称であり
そのためミドガルズオルムは「世界蛇」などと訳される場合もあります
ミドガルズオルムは「イェルムンガルド」と呼ばれることもありますが、これは「大地の杖」という意味悪神ロキの子供であり
その巨体と力を恐れた神々に、海底に追放されてしまいました。
神々を殺すほどの猛毒を持っていると言われ、雷神トールの宿敵でもあります。
北欧神話における世界の終末ラグナロクにおいて、巨人族フリムスルスの側につき、
雷神トールと相討ちになるという運命を有しています。


  ロック(Roc)
『アラビアンナイト』などに登場する巨大な鳥です。
ワシもしくはハゲタカを巨大にしたような姿をしており、その1枚の羽毛はヤシの葉ほどもあり、卵の周囲は150歩あるとされています。
インド洋の島に住んでいますが、食事の際はアフリカやインドに赴き、ゾウや、ゾウを一飲みにする大蛇を食べるとされています。
なお、ロックの起源はペルシアの霊鳥シームルグであるという説があります。
巨大なだけで、特に知恵があるようでもないのですが、『アラビアンナイト』によると、
全ての精霊ジンは、このロックに仕えているのだということです。


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